だんだん、ここに書いてくこともなくなっていくんでしょうね。分かります。
今回も相変わらず切りが悪いというかなんというか。容量は一枚半ほど。
今月掲載分はずっとこんな感じなんだろうな。
書いてた当時はテンポを気にして、地の分をある程度抑えてた模様。
たぶん、それが今現在の自然な書き方に一番近い、のか?
連れて行かれたのは大きな木製の扉の前だった。扉の幅は大人二人が手を繋いだまま両手を横一杯に広げても、まだ少しの余裕がありそうだ。扉にはアーチ状の取っ手が左右に一つずつ付いていて、左右には門番らしい人たちが立っている。
「この先に陛下はいらっしゃるけど、心の準備はいい?」
無言で頷く。今になって緊張してきたとは言えない。
そうしてアルメリアさんから扉の奥へ入っていく。扉の先は大広間だった。前のほうに玉座が見えるから大広間とは違うんだろうけど、そう思えてならないほど広い。
入ってすぐに扉よりも幅の広い絨毯が奥へと敷かれている。絨毯を目で追っていくと、切れ目から先は階段のように段差があり、段差は五段ぐらいでそこまで高くはない。その段差の上に玉座があって女王が待っている。
一歩ずつ近づいていく。普段よりも歩くのが遅くなってしまった気がするし、緊張も強くなる。呼吸も浅くなっているような気がした。
「陛下、先だって召還された異界人、三崎尚也をお連れしました」
「ご苦労です、アルメリア」
「は、もったいなきお言葉」
アルメリアさんは頭を垂れてかしずく。
「初めまして、異界人の少年。わたくしはシンセシア・ルミレス・ランブレイ。このランブレイ王国の女王に当たる者です」
女の人は自分が名乗ると言葉を切る。こっちの反応を見てるのか、何か別の部分を見てるのか。
名前はシンセシア、でいいのだろうか。何かを言い返してもよかったのかもしれないけど、その前に女王が話し出していた。
「このような小娘が女王で拍子抜けですか?」
「い、いえ、ちっともそんなことは……」
大体、小娘なんていっても僕より年上じゃないか。歳はたぶん……二十代ぐらい。それも前半か。
「ふふ、ありがとうございます。三崎尚也……でしたね」
シンセシア女王は僕を見ている。
透けるように白い肌に、緩やかに波打った蜂蜜のような深みと光沢のある金髪。ぱっちりと開かれた瞳は淡い青を湛えていた。額に赤い宝石がある。たぶん装飾品だろう。
白と薄いピンクの布を重ね合わせたようなドレスを着ていて、ドレスには刺繍や折り込みが幾重にも重ねられている。手の込んだ、それだけで上等の代物なんだと簡単に想像できる。ドレスの胸元は開いていて、そこから大きな胸が見えてなんだか熱くなる。
「すでに聞き及んでいるかと思いますが、あなたは異世界よりこの世界テラスマントに召還されたのです」
「聞いてます。異界人、でしたっけ?」
「その通りです。異界人は過去にも伝承や文献で存在を確認されていましたが、この半年ほどで他国も含めて何名か召還されたとの情報を得ています。このランブレイでも決して例外ではありません」
「どうして……僕が召還されたんです? こう言ったらなんですけど、僕は掛け値なしに普通というか、特別なことなんて何もできないですよ?」
ただの高校生で成績も中の中と特長なし。運動が得意でもなく、かといってデジタル関連に造詣があるでもなく。自分で考えておいて凡庸っぷりに少し悲しくなった。
「現状では異界人が召還された理由について皆目不明としか言えません。実のところ、どのようにして異界人が召還されてくるのかさえ、我々には解明できていません」
「そんな……それじゃ元の世界に戻る方法も?」
「いえ、元の世界に戻す手立てはあります。手立てはあるのですが、今のままでは利用できないのです」
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[ 2012/06/10 00:00 ]
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