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ReTERA03-2

前回からサブタイトル付け忘れてたや……三回目の冒頭がサブタイだから、このままなしで。




 シンセシアは座ったまま、顔を向けずに妹に問いかける。
「フェルミィ……わたくしは正しい選択をしているの?」
「正しいのかなんて、私にだって分からないよ。でも姉様が最善を尽くそうとしてるのは確かなんだから」
 姉妹二人なので、互いの言葉から形式という枠が外れていた。そして他人には見せられない本音も出てくる。
「ですが、わたくしはこの国の戦争に異世界の人間を巻き込んでいる……縁もゆかりもない他者を戦いの道具として――」
 自己嫌悪に走り出そうとしているシンセシアを、フェルミィの言葉が重なって引き止める。
「そんな風に考えちゃだめだよ。縁もゆかりもないかもしれないけど、みんなが戦ってくれるのは、自分たちでそう決めてくれたからなんだよ。姉様はその意思まで否定しちゃってる。それは違うんじゃないかな」
「そんなつもりはないの……でも、あの人たちには元の世界への帰還の目処が立っていない。それなのに今の状況は……戦いを押しつけてるだけと変わらないでしょう?」
「それはそうかもしれないけど……」
 フェルミィは言い淀み、しかし背筋を伸ばし直す。
「私は姉様ほど深く考えてるわけじゃないけど……もうじきフェイムツェイルの修復は終わるから私も戦列に戻れる。そうしたらランブレイも姉様も、みんなも守ってみせる。姉様の不安だって、私が払ってみせる」
「あなたにも危険な真似ばかりさせて……ごめんなさい」
「謝ることなんてないから。大丈夫だよ。私たちが間違えてるなら、とっくにフェイムツェイルにも見捨てられてるはずだし。だから姉様。もっと自信を持って、ね」
 フェルミィの励ましに、シンセシアは決して晴れやかではない表情で頷いた。フェルミィの言葉には根拠があるし、それはシンセシアも承知していた。
 フェルミィの言葉は理屈として筋が通っている。しかし、理屈だけで自分を納得させられる人間は必ずしも多くない。
 シンセシアは理屈で自分を納得させる術を心得てはいるが、わずかでも不満はたまる。長年に渡って蓄積されているシンセシアの鬱屈が、言葉一つで簡単に晴れるわけではない。
 元来、彼女にとって王位は身近にこそあれ、自身が引き継ぐとは本気で考えられないものであった。
 先王の憤死や王位継承権の兼ね合いで、そのお鉢が回ってきたという側面も強い。
 それでも彼女は王たらんとしている。妹を初め補佐してくれる人間も多い。少なくともそれは、不幸などではない。


web拍手 by FC2 [ 2012/08/09 00:00 ] ReTERA | TB(-) | CM(-)