FC2ブログ






ReTERA07-20 守護騎士と逃亡劇と暴走

余計な時間ばかりかかってしまったけど、この回の戦闘はこれでお終い。
次の回でまとめをやって、それで7話自体が完結。
やっとここまで、になってしまうのかな。





 ロングソードを片手に黒いやつへ近づく。こちらに気づいた気配はない。セファーナに集中しすぎていて、俺など気にも留めていないのだろう。だから不意打ちは成功するはずだ。
 ……それでも稼げる時間など、たかが知れている。
 まともに戦えるはずがないし、かといって搦め手が通用するほど拮抗している相手とも思えない。
「だが必要ならやるまでだ」
 俺にできるのは一秒でも長く注意を引きつける。それだけだ。
 フィーリアスが踏み切るように前へ出る。ロングソードを後頭部に向けて全力で振り下ろした。
 結果は一方的だった。
 甲高い音がして、ロングソードが接触した部分から折れて彼方へ飛んでいってしまう。黒いやつは無傷だった。
 半分ほどの長さになってしまったが続けて背中に突き込む。こちらも結果は変わらない。
 黒いやつが顔を向けて、こちらを見た。ようやく姿を認めたかのように。
「邪魔をするなあぁぁ!」
 少女の怒声と共に左の拳が繰り出される。避ける時間はない。
 フィーリアスの右腕が肩から粉砕される。それでも踏み止まってから右脚での蹴りに移る。腰に入ったそれは、逆にフィーリアスの甲を破壊する。
 ルフトバインの左腕がフィーリアスの頭部を鷲掴みにする。片腕一本で振り回そうとするが、強すぎる力が頭部を完全に握り潰してしまう。そのまま勢い余って放り出されてしまう。
 頭部を破壊されたことで視界も得られなくなった。それでも機体が倒れようとしてるのは分かる。右腕はもうないし左腕は動かない。受け身も取れず衝撃を削げないまま転倒した。
「よく持った方か……?」
 確かめようはないが、もう他に手立てがないのも確かだ。あとはセファーナに任せるしかない。


 エリヤの攻撃に黒い機体の注意が完全に逸れた。この好機を逃すわけにはいかない。
 周囲のフォースを凝縮し、さらにクリスティーエの力で結晶化させる。拳大よりも二回りは大きい、微かに紫がかった透明の水晶のようになる。
 大気操作によって、それを機体前方に固定。方向の微調整を加えつつ圧縮を加える。
 操作は結晶のみならず、その前方の空間にも作用する。目には見えないが、結晶が飛ぶための道を形作っていく。飛翔を補正し、加速を促すための道を。
「出会い頭とは違い、今度はこちらも全力で応じましょう……!」
 最初の時点ではぶつけたのは圧縮した空気に留めていたが、今回は違う。あれだけ堅牢な機体だ。これでも破壊はできないはずだ。
 皮肉なものだ。破壊できないからこそ全力を出すのに躊躇いはない。
 今やエリヤのフィーリアスは完全に無力化されていた、
「……無茶どころか無謀だ。それでも無駄にはさせません」
 黒い機体は倒れたフィーリアスには目もくれずに、こちらに突撃してくる。
 エリヤの作った時間は十分だ。それに黒い機体と若干の距離があるのも不幸中の幸いだ。巻き込まずに済む。
 注意が逸れていた間に用意は整った。そして今、解き放つ。
「クリスエアスレイド。さて」
 大気の枷が外される。爆風が生じた。
「音よりは速いですよ」
 結晶の楔が黒い機体に激突していた。事実、結晶は私の呟きよりも速く黒い機体を捉えていた。
 衝撃波が周囲の大地を削り取って、黒い機体は宙に投げ出されると横倒しになって地面に何度か叩きつけられるように落ちる。
「――二発目」
 もう一度、再発射の用意をする。これでも止まらないのなら、もう一度ぶつける。そう、止まるまで何度だって。
 けれど二発目は必要なかった。
黒い機体は腕を立てて起き上がろうとするが、その最中に力尽きたように倒れた。同時にそれまでの黒が白に変わる。今まで漂っていた不穏な気配も急速に感じられなくなった。
 終わったんだと悟った。少なくとも、この場の脅威は去ったのだと。
「やれやれ……何が起きてるのやら」
 エリヤの召喚に、この正体不明の機体。テラスマントに何か異変が起きている証拠だ。その異変が何かまでは分からずとも、ロッシュアルムもそれを無視はできないだろう。
 薄々感じていた転機の訪れは、今やもう疑いようもなく確信に変わっていた。

web拍手 by FC2 [ 2013/05/01 00:00 ] ReTERA | TB(-) | CM(-)